フレイル関連キーワード
高齢者の健康に関する用語を解説
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- フレイル
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フレイルとは、加齢によって心身が衰えた状態のこと。2014年に日本老年医学会が提唱した概念で、英語の「Frailty(フレイルティ:虚弱)」が語源となっています。
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- サルコペニア
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サルコペニアは、ギリシャ語の「サルコ(筋肉)」と、「ぺニア(喪失)」を組み合わせた造語で、筋肉量が減って筋力や身体機能が低下した状態を指します。サルコペニアの判定には「筋肉量の減少」が必須条件で、それに加えて筋力と機能のいずれかが低下している場合を「サルコペニア」、両方とも低下している場合を「重症サルコペニア」と判定しています。
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- ロコモティブシンドローム
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骨、関節、筋肉などの運動器の障害のために移動機能に支障を来たした状態をロコモティブシンドロームと言います。フレイルや要介護状態に陥る大きな原因の一つとなります。
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- 指輪っかテスト
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サルコペニアのチェック法として用いられる簡易的な方法。
サルコペニアは身体面の変化なので、フレイルの進行状況を知る上でわかりやすい兆候と言えます。両手の親指と人差し指で輪っかを作り、ふくらはぎの筋肉量を測ります。
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- フレイルサイクル
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サルコペニアがフレイルの引き金にもなることも少なくありません。加齢や病気で筋肉量が低下しサルコペニアを起こすと、活動量が減少し、食が進まなくなります。食欲低下によって、必要な栄養を十分に摂取できなくなってしまいます。慢性的な低栄養の状態はサルコペニアをさらに進行させ、筋力低下が進んでいくという悪循環になり、これが「フレイルサイクル」と呼ばれます。
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- オーラルフレイル
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噛んだり、飲み込んだり、話したりするための口腔機能の衰えは「オーラルフレイル」といわれています。栄養をしっかりとるには、歯と口の健康にも気を配る必要があります。
しっかりと食べることは、フレイルを予防することにつながります。
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- 漢方薬
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「自然界にある植物や鉱物などのうち、薬効を持つ」部分を一定の法則のもと、原則として複数組み合わせて作られた薬です。
漢方薬は体と心を一体として捉え、全体のバランスを整えることで、結果的に症状を改善していく薬です。原因が特定できないけどなんとなく調子が悪かったり、「未病」と呼ばれる病気の一歩手前の状態でも治療ができます。フレイルはまさに介護が必要になる前の「未病」ですから、漢方薬の得意分野と言えるでしょう。
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- 人参養栄湯(にんじんようえいとう)
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人参をはじめ全12種類の生薬から成る漢方薬。食欲不振や疲労倦怠、寝汗、手足の冷え、貧血、病後の体力低下などに効果がある薬で、栄養状態の改善が期待できます。フレイルの治療でよく使われています。
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- 生薬
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植物の葉・花・つぼみ・茎・枝・根、また菌類、鉱物や昆虫など、長い経験の中で効きめがあるとされた物質を、利用しやすく、保存や運搬にも便利な形に加工したものを「生薬」といいます。
ちなみに、ゲンノショウコ、センブリ、ドクダミは生薬ではなく薬草です。
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- 未病
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未病とは、健康から病気に向かっている状態をいいます。
検査などで異常が発見されないにもかかわらず自覚症状がある場合や、自覚症状がなくても検査値に異常がある場合のどちらも未病とされています。
漢方医学で考える未病は、前者のように原因の特定ができない不調とされ、「不定愁訴」と呼ばれます。なんだか調子が悪い…だけど原因が特定できないという場合は、漢方医学では今の状態を分析し対策をとることができます。
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- ポリファーマシー
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ポリファーマシーは、「Poly」+「Pharmacy」で、多くの薬という言葉です。多くの薬を服用することにより副作用やさまざまな弊害が起きます。
日本老年医学会では、「80歳以上の高齢者に6種類以上の薬を投与すると、30%程度に副作用が現れることがある」と警鐘を鳴らしています。薬の種類が増えるほど管理も大変になり、飲み忘れや飲み間違いも増加します。
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- 高齢者
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WHO(世界保健機構)をはじめ、多くの先進国における高齢者の定義は65歳以上となっています。日本においても同様ですが、この65歳以上を高齢者とすることに否定的な意見が強くなっていることから、日本老年学会・日本老年医学会では75歳以上を高齢者の新たな定義とすることが提案されています。
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- フレイル健診
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各自治体で75歳以上を対象に行われている後期高齢者医療制度の健康診査に、2020年度から「フレイル健診」が加わりました。健診の受診者に質問票を渡し、「心身の状態」「栄養」「口腔機能」「運動」「認知機能」「社会性」といった指標に基づく15の質問に答え、フレイルの状態を判定します。
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- 地域包括支援センター
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地域包括支援センターは、地域の高齢者の総合相談、権利擁護や地域の支援体制づくり、介護予防の必要な援助などを行い、高齢者の保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援することを目的とし、地域包括ケア実現に向けた中核的な機関として市町村が設置しています。
現在、全国で5,270カ所が設置されています。(ブランチ(支所)を含めると7,305カ所)
※2021年4月現在(厚労省ホームページより)
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- MCI(軽度認知障害)
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健常者と認知症の人の中間にあたる段階を、MCI(Mild Cognitive Impairment:軽度認知障害)といいます。認知機能(記憶、決定、理由づけ、実行など)のうち1つの機能に問題が生じてはいるものの、日常生活には支障はない状態です。
認知症になった人は全員、程度の差はあれ、MCIの時期を経験していると考えられますが、一方でMCIになったら必ず認知症になるわけではありません。
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- 要介護
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要介護とは、自分一人で日常生活を送ることが難しく、誰かの介護が必要な状態です。
状態に応じて介護度が1から5までに設定されています。
日常生活は自分で行うことができるが、多少の支援が必要な状態を要支援といいます。