基礎知識

サルコペニアとの違い

サルコペニアは、ギリシャ語の「サルコ(筋肉)」と、「ぺニア(喪失)」を組み合わせた造語で、筋肉量が減って筋力や身体機能が低下した状態を指します。サルコペニアの判定には「筋肉量の減少」が必須条件で、それに加えて筋力と機能のいずれかが低下している場合を「サルコペニア」、両方とも低下している場合を「重症サルコペニア」と判定しています。

フレイルとの関連性(フレイルサイクル)

「筋肉量や筋力」の衰えにフォーカスしたサルコペニアは、身体的フレイルの一つ。フレイルはこうした身体的な問題だけでなく、認知機能の衰えなどの精神・心理的問題、独居や経済的困窮などの社会的問題も含んだ、より広い概念と言えるでしょう。

サルコペニアがフレイルの引き金にもなることも少なくありません。加齢や病気で筋肉量が低下しサルコペニアを起こすと、歩行速度が落ちたり、疲れやすくなったりすることで、活動量が減少します。動かなければおなかもすかないので、食が進まなくなります。加齢で食が細くなりがちなのに、食欲の低下が加われば、筋肉の素になるたんぱく質を中心とした必要な栄養を十分に摂取できなくなってしまいます。慢性的な低栄養の状態はサルコペニアをさらに進行させ、筋力低下が進んでいくという悪循環に。こうした悪循環は「フレイルサイクル」と呼ばれ、繰り返していくうちにフレイルはどんどん進行し、日常生活に支障を来たすようになります。
介護が必要な状態にならないようにするには、フレイルサイクルを断ち切ることが大事。フレイルサイクルの中に位置しているサルコペニアを予防したり改善したりすることは、悪循環の解消につながります。

サルコペニアのチェック法

サルコペニアは身体面の変化なので、フレイルの進行状況を知る上でわかりやすい兆候と言えます。ふくらはぎのボリュームを測る「指輪っかテスト」をやってみてください。
膝が90度になる状態で椅子に座り、両手の親指同士と人差し指同士をくっつけて、ふくらはぎの一番太いところを囲む輪を作ります。指が届かず囲めない、あるいはちょうど囲めるという場合は、サルコペニアの危険度は低くなります。一方、指の輪よりも足が細くて隙間ができる(=ふくらはぎが痩せている)場合は、筋肉量が減っている恐れがあります。

監修医師

秋下 雅弘先生

東京大学大学院医学系研究科 老年病学・教授
東京大学医学部附属病院 老年病科・科長


※2022年当時の情報となります

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